エチュード〜さよなら、青い鳥〜
幸せの共有
二次予選は、課題曲のショパンのエチュードと自由曲の二曲を演奏する。梅田と萌も一次予選を無事通過していた。
初音は大学内のレッスン室のドアを開けた。
「杉田先生、丹下です」
杉田は、ちょうど大輔と話をしていた。
「初音!今、先生と初音の話をしてたんだよ。
俺、先生と一緒にこの間の一次予選見に行ってたんだけどさ。すごかったぞ、お前のヴァルトシュタイン!最高だった!」
大輔が興奮して、初音の手を握ってブンブンと振る。
「ありがとう、大輔」
「で、初音は二次予選は何を弾くんだ?」
「課題曲は、ショパンのエチュードイ短調 Op.25-11 。
自由曲は、ラフマニノフのピアノソナタ第2番 変ロ短調 Op.36、1931年版」
初音の述べた曲に、大輔はポカンと口を開けた。どちらも高難度で有名な曲だ。
杉田先生は深くうなづく。
「君の技巧が最高に映える曲だよね。
ラフマニノフは久しぶりだろう。ちょっと聴かせて」