エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「久しぶりのコンクール衣装、ワクワクよ!
それなのに、二次予選は高校生の時に着てたドレスを手直しだなんて、アタシの美学が許さないわ」
あれは、最後のコンクール。
努力を全て『丹下』のせいにされて、悔しいと泣いた時の思い出の青色のドレス。それをもう一度着て、あの時止めてしまったピアノへの情熱をもう一度呼び起こしたかった。
「あの時の雪辱を果たしたいの。ごめんね、ワガママ言って」
「ま、しょうがないわね。初音が戻ってきて、うれしい。この四年、頑なに人前に出ないでこもっていたから、心配してたのよ。ピアノ、辞めちゃうんじゃないかって。
その心境の変化、何があったのかなぁ?」
ジュンが、初音の顔をのぞきこむ。父譲りの整って華やかさをまとうその顔は、意味ありげな笑みを浮かべている。
それなのに、二次予選は高校生の時に着てたドレスを手直しだなんて、アタシの美学が許さないわ」
あれは、最後のコンクール。
努力を全て『丹下』のせいにされて、悔しいと泣いた時の思い出の青色のドレス。それをもう一度着て、あの時止めてしまったピアノへの情熱をもう一度呼び起こしたかった。
「あの時の雪辱を果たしたいの。ごめんね、ワガママ言って」
「ま、しょうがないわね。初音が戻ってきて、うれしい。この四年、頑なに人前に出ないでこもっていたから、心配してたのよ。ピアノ、辞めちゃうんじゃないかって。
その心境の変化、何があったのかなぁ?」
ジュンが、初音の顔をのぞきこむ。父譲りの整って華やかさをまとうその顔は、意味ありげな笑みを浮かべている。