エチュード〜さよなら、青い鳥〜
「そうこなくっちゃ!アタシも早速デザインを考えるわ。久しぶりに、燃えてきた!
ミキちゃん、CDかけて。そこにある、Proko 3って書いてあるやつ。そう、それ」


オーディオデッキから流れたのは、プロコフィエフ作曲、ピアノ協奏曲第3番 ハ長調 Op.26。


音楽が流れるなり、ジュンは真っ白な紙を前に目を閉じた。
こうなれば、もう、彼の世界だ。




「丹下様、こちらへ。
ドレスはお包みしてご自宅へお届けしますね」

ミキ店長に誘導され、初音はそっとジュンの部屋を出て、別室でドレスを脱いだ。

「久しぶりに、先生のイキイキした顔見ました。JUNNZO SUZUKI はこうでなくちゃ。このところ年齢を言い訳に、あまりデザインが浮かばないって、やる気なかったので」


ーー本選は、プロコフィエフの3番よ。
ジュンさん、グランプリに相応しいドレスをお願い。


そう囁いた初音に触発されたジュン。

「ジュンさんのドレスを無駄にしない為にも、最高の演奏をしなくちゃ」


初音は、ヒラヒラと手を振って店を後にした。






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