寿命1ヶ月間の彼女のカメラ
1章【写真部】

【出逢い】

・・・・・


古い木造の部室のドアを音を立てて開ける。

勢い良く開けた部屋は、嫌に埃の匂いがした。

部室全体は綺麗に清掃されているのに、木造製だから脆い上に埃臭い。

部屋の片隅に置いてある、本棚に目をやる。

そこに、薄く埃を被ったカメラがあった。

彼女の、カメラ。

セーターの裾で埃をはたいて、レンズが壊れていないかどうか覗き込む。

まるで、僕が見つけてくれるのを待っていたかのように、レンズがきらり、と光った。


「…遅くなってごめんね、探しに来たよ。」


探しに来たよ、



君を。








『見つけて』





『ほんとの私を、』







「見つけた」『見つけて』






カーテンの間から射し込む木漏れ日が、まるで僕を誘うかのようにカメラを構えさせた。
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