忍冬子の逃げられぬ道

第一回：牡丹の入墨

忍冬子：「お坊さん、ちょっと外していい？」

和尚さん：「施主、貧僧男色に興味がねー。」

忍冬子：「冗談言うな。拙者はただ少し外側に外してくれと」

正直和尚さんは、忍冬子に少し近づいてきた。

忍冬子：「このくそ坊主、方向の逆だ。」

和尚さん：「道兄、勘弁してくれ。こっちの屋根から雨漏りしているんだ。」

忍冬子は黙って畳の外側に移り、体の半分が浮いていた。

二人は畳に横たわり、あばら屋の中で、早春の雨の音を聞いていた。

和尚さん：「何日間食事していなかった？俺たちは」

忍冬子：「たぶん三日半ぐらい。」

和尚さん：「あのう、道兄さん、托鉢に行ってくれない？」

忍冬子：「拙者はまだ満腹だ。」

お坊さん：「貧僧行きたいが、村が遠いのが嫌だ。」

忍冬子：「乞食も人里が遠いのが嫌なら、餓死していい。」

正直和尚さんはグーグーと鳴る腹を触りました。後ろから何かを吸う音がする。

「何を食べてる？」

忍冬子：「おぼうさんの嫌なもの。」

正直和尚さん：「人の太もも？それとも私の白い靴下？独り占めしないで。」

正直和尚さんは首を冷やして、氷水を垂らして首筋に沿って滑ってきた。寒くて坊さんは体が縮こまる。

お坊さん、「おい、ここにまだ湿気が足りないか？」

冬子をこらえてゆっくりと一言言った。

忍冬子：「食べる？まだある。」

和尚さん黙ってきた。たまに忍冬子の口から出る氷を吸う音だけが聞こえる。

和尚さん：「氷を食べてどれぐらいになる？」

忍冬子：「もう何年かな、毎年雪が降る時、いくつか拾って食べる。」

和尚さん：「でも、どこかにに氷隠れてるのが見なかった。」

忍冬子：「達人の暗器は、どこに隠れているとは限らん。私の氷も同じ。」

和尚さん：「あれは食べれば食べるほどお腹が空かない？」

忍冬子：「魚が水でお腹を膨らませているの？」

急に和尚さんが畳からはじきだして、地面に落ちた。

忍冬子が丸い氷を飲み込んだ。

忍冬子：「早くどいたらよかった。出家人は人の便利が自分の便利。やっとゆったりと眠ることができた。」

忍冬子は四足八叉で伸び伸びと体を動かしてきた。そして彼は急にこわばった。彼はなぜお坊さんが急に畳から跳ねたのかが分かった。

その風をさえぎるぼろの柴門で、いつになったらもう半開きになる。

月白い服を着ている女性が、ゆったりと畳の前の近くの空き地に立っている。

女子は手の中にある李紅色の傘を閉じた。傘を持つ左手は無造作に垂れている。傘の先から雨がぽつりぽつりと流れていて、地面に水が集まっている。

彼女は畳の上の忍冬子に向かって微笑んでいる。

和尚さんは畳の側に立って、頭を下げて、念仏している。