【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書
あの刑事さん、元気かな?
そんなことを思っていた時だった。
「ほら危ないから下がってくださーい!」
「……え?」
あ、あれって……!?
そこにいたのは、あの時あたしを助けてくれた刑事さんだった。
え、なんでここに!?
まだあたしには気付いてはいないようだったけど、間違いなくあの時のひったくり犯を捕まえてくれたあの刑事さんだった。
川畑裕太さん。捜査一課の刑事さんだ。
まさかこんなところで会えるなんて……。思ってもいなかった。
だけど、それもつかの間で。いつの間にかあの刑事さんはいなくなっていた。
「……お礼、言いたかったな」
あの時のお礼、ちゃんとしてなかったし。
でもまあ、仕方ないか。刑事さんは忙しいし。
それにあたしの顔なんて、覚えてないよね、きっと。
刑事さんは一般市民のあたしのことなんて興味もないだろうしね。