【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書


 「おい!これで全部か!!」

 「は、はい……全部です……」

 そして男が立ち去ろうと振り返った瞬間に、あたしはその男と目が合ってしまった気がした。

 その瞬間……。あたしは凍り付くように動けなくなった。

 そして察した。ヤバイって……。

 一瞬にして、察したんだ。あ、あたし殺されるかもって……。

 そしてカバンを持った男が、あたしに静かに近づいてきた。

 「……っ……」

 どうしよう……。動きたいのに、動けない……。

 「……おい。見たな?」

 「……い、いえ……見てません……」

 そんなのはそんなのは明らかなウソだって言うのは、男だって分かっているはずだ。

 「嘘つけ。本当は見ただろ?見たんだよな?」

 「……いえ」

 「ウソを付くな!!!」

 怒鳴られた瞬間に、体が強張るのが分かった。

 ……あーあ、あたしもうダメだ。終わる。この男に、本気で殺される。

 そう思ったんだ。



< 130 / 257 >

この作品をシェア

pagetop