【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書


 「……み、見ました……」

 「……ちよっとこい!」

 「え、ちょっと……!?」

 男はあたしの腕を引っ張ってコンビニの外へと連れ出した。

 「……ちょ、ちょっと!離してください!!」

 抵抗したけど、離してくれる訳もなく、そのままどこかへ連れて行かれてしまった。

 「うるせぇ!暴れるな!!殺すぞ!!」

 「っ!?」

 こ、殺すぞ……!?

 やっぱりあたし、殺されるってこと?

 やだ……。まだ死にたくない……。

 そんな時ふと思い出したのは、裕太さんの顔で。

 裕太さんに会いたい。裕太さんの声が聞きたいと思った。

 裕太さん……。

 そう思っていたら、泣きそうになってしまって。だけど、涙を止めることができなくて。

 そしてそう思ったその時だった。パトカーのサイレンが近くで聞こえてきたのだった。

 裕太さん、来てくれたの……?

 そして男は、そのサイレンに対してやばいと思ったのか、あたしの腕を離してどこかへ行ってしまった。

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