【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書


 裕太さんの言うとおり、もしその男が本当に事件の犯人だったとしても。……その証拠がない限り、その男を捕まえることは出来ないんだよね……。

 だけど何よりも思うのは、その人がもし犯人じゃなかったら……?あたしが見たあの火傷の傷が、本当はなかったとしたら……?

 もしそうなった時、あたしはその人になんてお詫びしたらいいんだろうか……。

 もしかすると彼は、冤罪になっていた可能性だってあるんだ……。

 あたしの言葉で、あたしのその隠していた言葉が。その人の人生を狂わせることにだって、なってしまうかもしれない……。

 そう思ったりした時に、なんだかあたしは怖くなって、裕太さんの顔を見ることが出来なくなった。
 
 「……若葉さん?どうかしましたか?」

 「……いえ」
 
 それでもあたしは、その一言以外、何も言うことが出来なかった……。

 それ以上口にしたら、きっと今ここで、泣いてしまいそうだから……。

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