【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書
side裕太
「源さん、戻りました」
「遅かったな?」
「すみません。ちょっと知り合いに会ったもので」
「知り合い?」
「はい。この前ひったくり犯を捕まえた時の被害者です」
「あ〜そういえばそんなこともあったな」
「はい。その女性に、たまたま会いしまして」
「ほぉ。そうか」
「はい。元気そうでした」
「ならよかったな」
「はい。……ところで、その後の動きはどうですか?」
「いーや、まだ何もない。姿すら見せない」
「……そうですか」
「今日必ず、取引があるはずなんだがな……見込み違いか?」
「いえ、そんなはずはないと思いますが……」
そう思ったその時だった。
「っ!来ました!ヤツら出て来ましたよ?」
「何?本当か?」
「はい。間違いありません」
「あとはブツを渡せば……」
「現行犯逮捕、ですね」
「ああ。……さあ、渡せ。渡すんだ」