【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書
裕太さんはあたしのそばまで来ると、あたしの手をギュッと握った。久しぶりに感じる、人肌の温もり。それはとても温かくて。本当に愛おしくて……。
「裕太さん……」
あたしはもう、涙が止まらなかった。抑えなくても、溢れて止まらなかった。
「若葉さん……生きててよかった……。本当によかった……」
よく見ると、裕太さんも泣いていた。裕太さんが泣く所を初めて見た。……嬉しかった。あたしのために、こんなに泣いてくれるなんて……。
あたしは、幸せ者だな……。裕太さんにこんなにも心配してもらえて。涙まで流してもらえて。こんなに幸せなこと、今までないと思った。
「笹木さん、夕方に点滴や血圧、体温チェックしますので。ゆっくり休んでください」
「……はい。ありがとうございました」
担当医師と看護師さんが病室から出た後、あたしはゆっくりとベッドから起き上がった。
「若葉さん!まだ動かない方がいい」
「大丈夫です……」