【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書
「後少し入院することになると思うけど、無理はしないでね」
「うん。……ありがとう」
「じゃあ俺、もう行くよ。またね」
「……うん。またね」
裕太さんは面会時間が過ぎたため、名残惜しそうに帰っていった。そんな姿を見て、あたしもさみしくなった。
その後の退院に向けた検査では、奇跡的に脳や手足のしびれなどもなく、結果は良好だったため、あたしは数日間の入院生活を経て、無事に退院することになった。
ただあの時、無我夢中だったけど、女の子を助けようとしたのは、本能だった。体が勝手に動いていて。……きっとあたしの小さい頃を見ているようで、助けなきゃと思ったのかもしれない。
だけどそれでも、その子の母親が目の前で我が子を失わずに済んで本当によかったと思った。大切な人を失う悲しみは、もう味わってほしくない。
だからこそ、家族が仲良く暮らせるようにあたしは心から祈っている。まぁそれはあたしたちも一緒だけど……。