【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書
「……いえ。ちょっと昔のことを、思い出してしまって……」
「……昔の、こと?」
「……はい。さっきニュースで見ました。犯人が捕まったって」
「ああ。逮捕したよ。……明日には、検察へと送検されるよ」
「……そのニュースを見てあたし、思い出してしまって。20年前のこと」
「……20年前のこと?」
「はい。……あたしが10歳の頃、あたしと両親は、通り魔殺人に遭ったんです」
「……え?」
彼女は、静かに話し始めた。20年前の悲惨な事件のことを……。
「……両親と出かけていた時のことでした。人通りの多い道を歩いていた時、突然ナイフを持った男が現れて……」
「……まさかそれって?」
「……はい。そうです。そいつは、何人もの人を切りつけたんです。……そしてあたしの父親は、あたしと母を守ろうとして、その男に刺されてしまって……」
「……まさか、あの時の事件に、君が関わっていたのか?」