【完結】警察官な彼と危険な恋愛白書
「……はい。父親は背中を一突きされてしまって、それが致命傷になって。そのままあたしの目の前で血を流していて……」
笹木さんの目からは、とめどなく涙が溢れていて……。
俺はそんな笹木さんを見ているのが辛くなって、つい笹木さんを抱きしめてしまった……。
「……え?あ、あの……」
「……辛いこと、話させてごめん。でももう、何も言わなくてもいいよ」
「……刑事、さん?」
「辛いのなら、泣いてもいい。……泣きたい時は、我慢しなくてもいい」
「……っ……うぅ……」
俺がそう言った瞬間、笹木さんは俺の腕にしがみついて泣いていた。
……知らなかった。まさか笹木さんが、あの時の事件の被害者だったなんて。
20年前の事件のことなら、俺もなんとなく覚えていたからだ。あの事件は衝撃的で、忘れることなんてないだろうと思ったくらい、悲しい事件だったからだ。
その後、笹木さんは続きを話してくれた。