いつか夏、峰雲の君
「おいどこだぁ——!! とうごーぉ! なつきーぃ!」
刹那鳴り響く叫びは、僕たち二人だけの世界を打ち破る。夏希は僕に笑顔を投げかけると、その手を名残惜しそうに離すのだ。
「登吾、夏希! 無事かお前ら、大丈夫か!?」
その時現れた勝平は、雨にずぶ濡れで今にも泣きそうで……。
どれだけの間、僕たちを探し回ったかすら想像もできないほど、彼はぼろぼろの姿で僕たちを迎えに来ていた。
「お前らぁ、ふざけんなよぉ! ほんともう……ふざけんなよぉぉぉ!」
後に彼に聞いた話、勝平はどうやって僕たちの居場所が分かったか? 彼は自信満々に、今もこう答えている。
——白い狐が教えてくれたと。