イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
そう、私はなにも見てないし、知らない。
「さ、C組のバスはどこかなっと」
きょろきょろ辺りを見渡して言うと、きょうちゃんが私の肩をぽんと叩いた。
「未来、残念だけどうちのバス、あれ」
きょうちゃんが指さす方向は、さっき森川が指さした方向と同じで。
『会長の私服ってまじ?!』
また1人、2人、女の子が私たちの横を走り去っていく。
向かう先は、人だかりの方。
私たちの、バスの方。
春なのに、冷たい風が、吹いたような気がした。