イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
せめて奥の席にいてくれたら。
奥に行かなければ会わずにすむ…。
そう祈る気持ちで見ると。
うん、最前列にいる。
ブラウンのオーバーサイズパーカーに、黒いスキニーデニム。
分かった、私服姿がかっこいいのは認める、分かったから…。
最前列の席ですごい存在感を放つ会長から、目をそらして進もうとすると。
「あー未来ちん、こっちこっち」
きたー、流奈さんの悪気のない攻め!
すぐ後ろの席に座っていたらしい、流奈さんが立ち上がって私を呼んだ。
「おはようございますー…」
私は力なく片手を挙げて応える。
奥の方の席では、既に隣同士に座っているきょうちゃんと森川が私を見て合掌している。
成仏を祈るな…!
半泣きになって立ち尽くす私に。
「さっさと座れば」
ついに会長が、会長の隣の席を指さして言った。
会長と目があう。
私は赤旗を揚げる。
にやり、会長は愉快げに笑った。