イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
会長は、うん、と頷いて、ひどく真面目な顔で彼女に言う。
「俺は君の意思を尊重する。俺を支援してくれることに感謝もする」
班のみんなも、他の班の人たちも、会長を見ている。
「だから、俺の意思も尊重してほしい」
「………、」
「ファンクラブの全員に頼んでるわけじゃない。ただ、今、こうして話してる君には、頼みたい」
会長のあまりに真摯な言葉に、女の子は涙目になって頷く。
見ている人みんなが、ごくりと息を飲むのが分かった。
「ありがとう」
会長は優しく微笑んでから、真顔になって私の方を見る。
私が持っていた包丁を、そっと私の手から奪ってまな板に置くと。
「…ちょっと、出るぞ」
そう言って私の手をとり、そのままぐんぐんと歩きだした。