イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
「副会長も流奈さんも、決まってるんですかね?」
「さあ。ある程度は決まってんじゃねーの」
さっきから、人のことばっかり気にしてどうすんだこいつは。
「未来は就職?」
聞くと、未来は驚愕、という顔をして俺を見て。
「…生徒会って生徒の進路希望まで握ってるんですか…?」
アホなことを言った。
そんなわけないだろ、と一蹴する。
未来の家は父親がいない。
それは生徒データを調べて知っている。
2人暮らしの母親を支えたいとか、そういうことを考えていることくらい、簡単に想像できる。
未来は安心したような声で、
「就職する、つもりです…。…なんか自分が働いてるイメージとかは、できないんですけど」
呟いて、少し心細そうな顔をした。
そんな顔すんな。
手が出そうになる。
ただでさえ、小さい傘の下に、2人きりだ。