イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛


「副会長も流奈さんも、決まってるんですかね?」

「さあ。ある程度は決まってんじゃねーの」


さっきから、人のことばっかり気にしてどうすんだこいつは。


「未来は就職?」

聞くと、未来は驚愕、という顔をして俺を見て。


「…生徒会って生徒の進路希望まで握ってるんですか…?」

アホなことを言った。


そんなわけないだろ、と一蹴する。


未来の家は父親がいない。

それは生徒データを調べて知っている。


2人暮らしの母親を支えたいとか、そういうことを考えていることくらい、簡単に想像できる。

未来は安心したような声で、

「就職する、つもりです…。…なんか自分が働いてるイメージとかは、できないんですけど」

呟いて、少し心細そうな顔をした。


そんな顔すんな。

手が出そうになる。


ただでさえ、小さい傘の下に、2人きりだ。

< 167 / 432 >

この作品をシェア

pagetop