イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
「なんで分かったんですか?就職って」
「進学する奴があそこまで勉強、手抜かないだろ」
冗談で言ってみる。
未来は見るからに落ちこんだ顔で。
あーおもしれー。
まったく、真面目なんだか不真面目なんだか、分からない奴だ。
濡れるから、と、いつもの曲がり角じゃなく、アパートの下まで未来を送る。
未来はまたしても素直についてきた。
立ち止まって向き合うと、雨音の中に沈黙が漂った。
未来の、少し湿気を孕んだブラウンの髪が、やけに目につく。
俺は雑念を振りはらって、スラックスのポケットからスマホを取りだした。
「スマホ」
言うと、未来も慌ててスマホを手にとる。