イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
□夏休み前日、喧嘩上等
*
「…あんた、すごいね」
廊下に張りだされた期末試験の結果を見上げて、きょうちゃんが言った。
自分でも驚いてしまう。
中間試験から大幅に各教科の点数を上げた私の名前は、学年30位に記載されていた。
「今回は1人で勉強したんでしょ?」
私はこくりと頷く。
…必死だった。
ふと気を抜くと、すぐに思い出してまって。
濡れた会長の肩と、掴まれた手の熱と、触れた唇のこと。
できるだけ思い出さないように、とにかく勉強机に向かった。
分からない問題があっても、会長に連絡なんてできるはずもなく。
ただただ記憶をかき消すように。
当の会長はあの日以来、何事もなかったようにいつもどおりで。
混乱しているのは、私だけで。
…いちいち反応しちゃいけないんだ。