イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛





夏休み開始まであと数時間。


浮足立った生徒たちの声で騒めいていた体育館も、生徒会長の登壇で一気に静まり返る。


お約束、お約束。

私は心の中で呟いて、ぼんやりステージを見上げた。


『黒髪クールな会長の初ステージ』

『遠くから見る黒髪かっこいい』

『金髪も恋しいけどねー』


こそこそと話す声が、どこからともなく聞こえてくる。


そう、3カ月と少し前、鮮やかな金色の髪にブレザーを着た会長は、今と同じようにステージに立っていた。


あの時は、他人だった。

なにもかも、知らない人だった。


でも。


俺様な態度も、身勝手な性格も、好きな食べ物も…優しいところも。

今は、少し知ってる。


それなのに、ここから見る会長はとても遠くて、目さえ合わない。


だからどうってこと、ないけど。


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