イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛


帰り道、流奈さんと副会長と別れてから家までの道を歩く。


見上げると、三日月がとても綺麗で。


流奈さんと副会長の話を、何度も思い出していた。

会長の、話。


…今なにしてるんだろう。

家はどこなんだろう。


そんな、他愛もないことと。


終業式の、挨拶の言葉。


――『海行く人?』

自分は行かないくせにさ。


――『高校1年の夏も、2年の夏も、3年の夏も、一度きりだ』

どんな気持ちで、言ったんだろう。



――『とにかく皆さん、長いようで短い高校生活です。…1年生はとにかく頑張ってみる。2年生はとにかく楽しんでみる。3年生は、悔いのないように』


春の、始業式の言葉。

悔いの、ないように。


私は、反芻する。


ああ、どうしよう。



…会いたい。


そう思った時、夜の静寂の中にスマホの音が響いた。

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