イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
声が聞こえてくる。
私の中の僅かな勘が、聞かない方がいい、と私に囁いたけど。
もう遅くて。
ぎゅっと目を閉じた時、
「神崎が人気あるのは分かってる。でも…好きなの」
女の人が、切なげな声で言った。
私はそっと、その場から立ち去った。
とぼとぼと、テントまで歩く。
会長の返事は、聞かなくたって分かってる。
きっと少し微笑んで、
「ありがとう」
そう言って。
そしてどこまでもまっすぐな瞳で、
「ごめん」
そう言うんだ。
会長が断るのは、それは、私がいるからじゃない。
会長が、そういう人だから。
たぶん心に、そう決めているから。
私とは、はるか遠い場所で。