イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛


会長の強い腕の力が、私を縛っている。


呼吸が苦しいほど。


会長の感触と香りにくるまれて。


幻覚じゃ、ない。

そう思うと、目に涙が浮かんだ。


必死に堪えて、私は口を開く。


「ど、したんですか…?バスで直帰のはずですよね?」


会長は私を抱きしめる力を少し緩め、だけど同じ態勢のまま、私の耳元で言う。


「…言い訳するなら」


ダイレクトに耳に響く会長の低い声に、肩が震えてしまう。


「流奈が鍵かけ忘れたかも、とかほざいたから、かけにきた」

「…開いてましたよ」

「勝手に入るアホもいるしな…」

…すみません。


そして私はおずおずと会長の身体に手を回して、小さな声で言った。



「言い訳しないで、ください」



ああ、なんてことを。


そう思ってすぐ、切なげな声が降ってくる。


「…会いたかった」


ああもう、なんてことを。




顔が見たい、と、首を伸ばそうとすると、会長の胸に顔を押しつけられる。


< 334 / 432 >

この作品をシェア

pagetop