イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛


真っ赤な顔が、会長の前に晒されてしまった。


会長は笑顔を消して、目を少し細め、私の顔を凝視して。


「見えねー状態で可愛いことになってんじゃねーよ」


ゆっくり綺麗な顔を近づけてくる。


ああ…。

こうやって、好き勝手されてしまうんだ。


そう観念して目を閉じた時。



「透くん!」



そんな声が聞こえて、私はぱちっと目を開けた。


唇は触れる寸前。


動きを止めた会長は、その表情に苛立ちを隠さずブラウンの瞳を動かした。


私も硬直したまま、同じ方向を見る。



そこには、黒く長い髪の、綺麗な女の人が立っていた。



大学生、くらいだろうか。


前髪は、意思の強そうなきりりとした瞳の上で綺麗に切りそろえられている。


ベージュのワンピースは、どこからどう見ても仕立てが良さそうで。


そこから伸びる細い脚の先は、華奢なハイヒール。



表情には、会長に向ける困惑と、私に向ける敵意が混ざっていて。



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