イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
□会長の婚約者
*
「未来、教室1人で戻れる?」
その言葉に私が頷くと、会長は私とたこ焼きをその場に置き去りにして、婚約者と名乗った女の人と一緒に去っていった。
それが、文化祭の最後の思い出。
その後のことはあんまりよく憶えていない。
ぼんやりと教室に戻って、黒子のままひたすらにたこ焼きを焼いていた、と思う。
「…で、会長からの説明は?」
文化祭のあとのクラス打ち上げの席で、きょうちゃんが私に聞いた。
私はストローでソーダをかき回しながら、ふるふる首を横に振る。
賑やかなファミレスのすぐ隣の席からは、森川たち男子のアホな笑い声が聞こえていた。
「婚約者って…なにその少女漫画展開…」
きょうちゃんが額に手をあてて言う。
私はソーダを一口飲んで、小さく息を吐いてから口を開いた。