イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
「会長は…言い訳とかしない人だと思う」
ああ、涙が出そうだ。
ずっと、心のどこかで気づいてたことなのに。
「言い訳しないってことは、きっと本当なんだよ」
自分の声が遠くに聞こえる。
それより近くで聞こえてきたのは、いつかの流奈さんの声。
――『色々、自分で決めるのは高校までって、約束してるんだって。お父様と』
あれは夏休みの、ファミレスだったな。
もうあの頃から、気づいてた気がする。
だってそれより前から兆しはあって。
1学期、雨の、帰り道。
傘の中。
はじめてのキスの前。
大学とか決めてるんですか?そう聞いたら。
――『とっくに決まってるよ』
前を向いたまま少し微笑んでいた横顔。
あの時は、まだなにも思わなかったけど。
そばにいればいるほど、思い出す横顔。
…あれはきっと、諦めの笑顔で。
きっと決まってる。
進学先も、就職先も。
会長の、相手も。
そう、気づいてた。