イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
クラスのみんなとファミレスから出たところで、聞き慣れない声に名前を呼ばれた。
「桜田未来さん」
見なくたって、誰か分かる。
ゆっくり声のした方を見ると。
ファミレスの外壁にもたれて私を見るのは、やっぱりあの綺麗な黒髪の女の人だった。
友梨子さん、と会長が呼んだ、会長の婚約者。
「少し、お話できるかしら」
綺麗に整った顔が、少しだけ険しく歪んでいる。
彼女が私の方へ歩みよると、ヒールとアスファルトのぶつかる高い音が肌寒い空気に響いた。
会長は一緒じゃないみたいだ。
「未来、大丈夫?一緒にいようか」
心配そうな顔で私と彼女を交互に見つめるきょうちゃんに、私は首を横に振る。
「大丈夫。先に帰ってて」
私は微笑んで言って、彼女の方へ歩みよった。
ねえ会長。
ここまで、なのかな。