イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
「付き合って、ませんよ」
黒目がちな目を少し丸くする友梨子さんに、私は言う。
「でも、一緒にいることが増えたのは、今年の春からです。それまではほとんど関わりのない人でした」
友梨子さんは、うーんと考え事をするような顔をしてから、呟いた。
「…時期が合わないな」
「…?」
時期って、なんだろう。
それからなにも言わない友梨子さんに、私は小さな声で聞く。
「会長の、婚約者って本当ですか」
「…会長?ああ、そうか透くん、生徒会とかやってるんだっけね」
私は頷く。
透くん、そう彼女が呼ぶことにさえ、嫉妬している自分を隠しながら。
「そう、婚約者。もっと正しく言うと、許嫁ってやつね…」
「許嫁…」
現実感のない単語だな。
きょうちゃんが聞いたら、少女漫画的名詞、とか言いそうだ。