イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
「私の家と透くんの家…家っていうより会社、ね。それがまあ、古い付き合いなのよ。私も透くんも、幼い頃からすごく厳しく育てられてきたわ。父の決めた場所で父の決めたように、生きてきた。…あなたには想像もつかないことでしょうね」
突き放すような言葉。
それとは裏腹に、友梨子さんは優しい表情で私を見た。
「私、一度も親に反抗したことがないの。大きすぎる家の子供に生まれると、大抵そうなる。反抗心がなかったわけじゃないよ。でも、反抗の芽は育つ前に摘まれる。周囲に大人が多すぎるのね。そうしてすぐに諦めるようになる。次第に自分の意思を失くす…」
淡々と話す、友梨子さんの声。
少しだけ低い、落ち着いた声は、綺麗だ。
「でも、透くんは他の子と違ったわ。中途半端な家の子は、親の意向から多少逸れたりもするけど…それとも少し違って。中学も、高校も、自分で決めた。お父様には、『一番良いところに行きますよ』…って言い放って」
流奈さんもそう言っていた。
同じようなことを。