イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
■一生に一度の
■SIDE透
車の窓から眺める街の夜は、クリスマス仕様でむやみやたらにキラキラしている。
12月25日。
誕生日にもクリスマスにも、別段いい記憶はない。
『誕生日がクリスマスだなんて接待での話題にちょうどいいじゃないか』
俺がいくつの時に親父が言った言葉だったか。
隣のシートに座って、目を閉じている父親の顔を少しだけ見ると。
「…なんだ」
片目だけ開けて俺に聞く。
白髪交じりの黒い髪。
「いえ」
「…真田、家まであと何分だ」
「5分でございます」
「透、帰宅して着替えたら10分後にロビーに集合だ。15分後には出る」
「はい」
「遅れるなよ。お得意先のパーティーだ」
「はい」
「…こないだの…、外山のとこの友梨子さんの件は、本気か」
前を見たまま言う父親に、頷く。
「本気です。一考くだされば幸いです」
返事をすると、父親はなにも言わずにまた目を閉じた。