イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
車がゆっくりとマンションの前で止まると、目を開けた。
スーツは、肩がこる。
「満様、透様、着きました」
運転席から声をかけられ、黙って車を降りた。
黒いスーツを着た父親の後ろをマンションに向かって歩くと。
ふと、父親が立ち止まった。
俺もつられて立ち止まって。
なんだと、視線を上げると。
マンションのエントランス前、白い照明の下にぽつんと、立っている、未来が。
「誰だ?」
父親が驚いて言う。
俺も驚いて、声が出ない。
なんで、こんな、ところに。
赤いマフラーをぐるぐるまきにして、鼻先を真っ赤にして、白い息に包まれて。
俺と父親を、強い眼差しで見つめる未来。