イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
私は男にばれないよう、裏庭の時計をちらりと盗み見た。
うわぁ、もうこんな時間…。
あと数分でチャイムが鳴って体育館では始業式がはじまる、そういう時間。
もう絶対間に合わないや。
今頃全校生徒は体育館で綺麗な隊列を組んでいるだろう。
きょうちゃんも森川も、心配してるだろうな…。
そんなことをぼんやり考えていると、ようやく男が口を開いた。
「…俺、3年の横山光輝って言うんだけど」
3年の…横山光輝。
どこかで聞いたことのあるような、ないような、名前。
あとで森川に聞いてみよう。
横山先輩は後ろ髪を掻きながら少し俯き、照れるような仕草をする。
それを見て私は内心で小さくため息をついた。
経験上、一番オーソドックスなタイプの告白だな。
そんなことを考えて。