イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
「透さんと同じ学校の、桜田未来と申します」
未来は凛とした声で父親にそう言って、俺に歩みより。
「会長。お誕生日、おめでとうございます」
紙袋を差しだした。
瞬きもしない、丸い瞳。
混乱で思考が鈍くなっていくのが分かる。
この場で抱きしめたら、どうなるだろう。
そんなことを考えながら紙袋を受けとる。
触れた手の、凍るような冷たさにはっとした時。
未来は勢いよく、父親に頭を下げた。
そしてそのまま、俺の手をとって。
誰の制止も及ばないスピードで。
駆けていく。
「ちょ、未来…」
思わず名前を呼ぶと、走りながら俺を振り返った未来は。
ひどく切なげな瞳で俺を睨み、なにも言わずにそのまま。
俺を連れ去った。