イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
□一生に一度の
*
夜の公園で私を抱きしめた会長は、王子なんかじゃなく会長なんかじゃなく、ただの1人の男の人だった。
愛されたいと、私を求めた、1人の男の人だった。
ぎゅっと私を抱きしめた温度。
私の涙を拭った、今までで一番優しい顔。
静かな、声。
ぽつりぽつり、自分の話をしてくれた。
きっと慣れないことなのに。
その震える声と、壊れ物を触るように私に触れる手が。
会長が18になった日の夜、そのかけがえのない一瞬が。
あまりに愛しくて。
あまりに愛しくて―――――、
「好きって言われてない」
大切なことを忘れていた。