イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛


いつまでも待ってばかりじゃだめだと、会長を迎えにいったんだ、あの日。


でも本当はそれだけじゃなくて。


ただ、会いたかった。


一度しかない、会長の18の誕生日に、顔を見たかった。


「そういえばプレゼントってなにあげたの?」

「…手編みのマフラー」


ぼんやり答えて遠くに目を向けると、袴を着た副会長と着物を着た流奈さんが歩いているのが見えた。


手を、繋いで。



――『2人とも、自分の気持ちには気づいてるのに、相手の気持ちには気づいてない。アホで間抜けだな、あいつらは。………でも。想い合ってれば、いつか気づく日がくる』



いつか、電話越しに会長が言った言葉を思い出して、苦笑いが零れた。


誰の話を、してるんだか。






待とう。


何年でも何十年でも、彼が、迎えにくるまで。



それでも待ちきれなくなったらまた、私から迎えにいけばいい。



うん、そうしよう。





< 415 / 432 >

この作品をシェア

pagetop