イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
会長の、超名門私立大学への入学が決まったという風の噂。
流奈さんからの、副会長と一緒に国立大学に合格したという連絡。
まだ2年の私は、どこか置いていかれたような気持ちの中、
ついに、卒業式の日を迎えた。
朝から浮ついた空気の校内には、すすり泣いたり笑ったりする3年生の声で溢れている。
お花が校内のあらゆるところに飾られていて、その装飾が寂しさを増幅させた。
「結局、会長からはなんもなし、かー」
きょうちゃんが残念そうな声を出して、体育館に並びながら言う。
「長い戦いになりそうだね」
その言葉に、苦笑いして頷くと。
「そうかなあ。会長のことだから、最短で色々始末しそうだけど」
森川が頭の後ろで手を組みながら言う。
どちらでもいい気がした。
いつまでも待てる気がした。
先生の声に前を向くと、静かなピアノのメロディーが流れはじめて、卒業式がはじまった。