イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
「桜田、未来です」
もう熟知されているらしい名前だけど、一応言って、私はその小さな手を握った。
「よかったあ、とーるのせいで警戒されてるかと思った」
「すみません、全然警戒してます」
「えーっ、そうなの?」
予想外、というように流奈さんは両手で顔を覆う。
逆にどうやって安心しろって言うのか教えてほしい。
今だってなんだかんだ言いながら、生徒会室に連行されてるし。
「そんな警戒しないでよー」
「しますよ…」
「うわーん、未来ちんツレナイ…」
未来ちんってなんだよ…。
心の中で毒づきながらとぼとぼ歩いていると、あの大きな扉の前に到着してしまった。
ごくり、私は息を飲む。
悪魔の住処め…。