イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
□泣いてしまいました
*
天気のいい、朝。
いつもどおりの時間に部屋を出て、アパートの階段を降りながら、私はよくよく思い出してみる。
あの日のこと。
はじまりの日のこと。
生徒会室でのこと。
――『俺の女になれ』
――「無理です」
――『無理は、無理』
――「無理は無理とか、無理です」
そう、私はちゃんとそう言ったはず。
逃げられると思ったら大間違い、的なことは言われたけど。
ちゃんと、拒否したはず。
したはずなのに。
アパートの敷地を出て最初の曲がり角を曲がったところに、その男は今日も立っている。