イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
私はため息をついて、男のそばまで歩く。
男は腕を組んでコンクリートの壁にもたれ、少し俯いて目を閉じていた。
神崎透。
私の通う、海西高校生徒会の会長。
成績トップ、どっかの御曹司、学内ファンクラブ有。
すらっと長い脚、色素の薄い肌、人工的じゃない金色の髪に、綺麗な顔。
スペック、ルックスともに、非日常的というか王子的というか。
私がやって来たことに気付かない会長のそばで、私は黙って立ちつくす。
…王子が立ったまま寝ちゃだめでしょ。
そう思いながら。
睫毛も、金色なんだな。
そんなことに気づく。
すやすや寝てくれている分には、なんの害もない。
イケメン好きってわけじゃなくても、この顔はずっと見てられる、かもしれない。
すやすや寝てくれている分には!
心の中でそこを強調してしばらく考えた挙句、私は仕方なく言った。