イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛


私はため息をついて、男のそばまで歩く。


男は腕を組んでコンクリートの壁にもたれ、少し俯いて目を閉じていた。



神崎透。



私の通う、海西高校生徒会の会長。


成績トップ、どっかの御曹司、学内ファンクラブ有。


すらっと長い脚、色素の薄い肌、人工的じゃない金色の髪に、綺麗な顔。


スペック、ルックスともに、非日常的というか王子的というか。



私がやって来たことに気付かない会長のそばで、私は黙って立ちつくす。



…王子が立ったまま寝ちゃだめでしょ。


そう思いながら。



睫毛も、金色なんだな。


そんなことに気づく。


すやすや寝てくれている分には、なんの害もない。


イケメン好きってわけじゃなくても、この顔はずっと見てられる、かもしれない。


すやすや寝てくれている分には!


心の中でそこを強調してしばらく考えた挙句、私は仕方なく言った。


< 60 / 432 >

この作品をシェア

pagetop