イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛


そもそも、会長があんな呼び出し方をしたのが悪いと思います。


心配されるような事態になったのは、この男のせいだと思います。


だから、心配してもらってありがとうございますなんて、そんな感情一切湧いてこなくて当然だと思います。


2年C組、桜田未来の主張は以上です。



そんなことを頭の中でぶつぶつ呟いているうちに、学校についてしまう。


校門を抜けて校庭を歩くと、視線の数はさらに増えた。



あーあ。


…もう女の子の友達、できない気がする。

…普通の彼氏だって、できない気がする。



ずっと夢見てた普通の恋が、どんどん遠くに消えていく。



グラウンドの前を通ると、森川が野球部の練習をしているのが見えた。


グラウンドからもこの異様な状況は分かるらしく、運動部の皆さんまでこちらを見ている。


呑気な性格の森川は、大きく手を振ってくれる。



私は皇族みたいに微笑んで、大人しく手を振るしかできない。



つらい。


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