イケメン生徒会長の甘くて危険な溺愛
今、校庭を歩いている、あんなカップルみたいな。
誰も気に留めない、あの2人に。
だけどきっと、あの2人はとても、幸せで。
幸せそうな、顔で笑って。
あんな恋なら、きっと崩れても、後悔しない。
堪えたい、という意志に反して、涙はずっと流れてしまっていた。
会長はただ黙って、私を見ている。
目の前にいる会長は、王子みたにかっこよくて、学校で誰よりも目立つ、人。
…私じゃないでしょ、相手は。
…私は、普通がいい。
「…もう、迎えにこないでください」
もっと早く、こう言えばよかった。
「私は会長の、お役にはたてません」
これは事実だ。
会長は目を伏せただけで、やっぱりなにも言わなかった。
私は泣きながら、会長に背を向けて歩きだした。