貴女を僕のモノにしていいですか？

誰もが寝静まった夜、立派な豪邸の屋根に人影があった。暗闇の中に目を光らせ、迷うことなく豪邸の中に侵入する。泥棒だ。

「お目当てのお宝は〜……」

心の中で呟きながら、猫耳に尻尾のついた黒いサスペンダー付きの怪盗用の衣装に身を包んだ少年は廊下を走る。足音は全く立てず、彼ーーーピーターが手慣れていることがわかるだろう。

「ここか……」

ピーターはある扉の前で立ち止まる。厳重に鍵がかけられた大きな扉だ。ピーターは針金を取り出し、鍵穴に差し込む。数秒、鍵穴をほじくるとカチャンと小さな音がして、部屋の鍵が開いた。

扉を開けると、そこには数々の豪華な装飾が施された剣や盾などが保管されている。ピーターは他の豪華なお宝には目もくれず、部屋の奥に隠された杖を手に取った。ルビーやエメラルド、アメジストにシトリンなど多くの宝石が埋められたものだ。

ピーターはその杖の置かれていた場所に、ズボンのポケットから一枚のカードを取り出して置く。そして部屋から立ち去った。