だから私は、今日も猫を被る。
08.友人との亀裂
朝のホームルームが始まる前、いつものように三人で固まっておしゃべりをする。
「あ、そうだ」
ふいに声をあげると、私の方へ視線を向けて
「今日、七海放課後遊べる?」
「うちらね、おいしいパンケーキ見つけたんだけど一緒に食べに行かない?」
放課後の予定に誘われる。
けれど、私の答えは決まっていて──
パチンッと両手を合わせると、
「ごめん、今日も妹の迎えがあって…」
と言うと、ほんとにごめん、と再度謝りの言葉を付け足した。
「えー、また迎え?」
「それお母さんに頼むんじゃダメなの?」
もっともなことを告げられて困惑していると、
「今日くらいは一緒行こうよー」
「そうだよそうだよ」
私の答えを待たずに急かす二人。
そんなことできていたらとうの昔にやっているよ、なんて不満めいた感情を心の中で吐きながら、
「ほんとごめん。…親に頼まれてて」
それしか言い訳が見つからなくて、終始手を合わせて謝る私。
まだ納得がいってないのか、二人は唇を尖らせたり、えー、と不満をもらす。
そんな二人に私は、
「ごめん。今度絶対埋め合わせするから」
なんて微塵にも思っていないことが簡単に口をついて出た。
日頃、私がいい子を演じているからその成果が出ているのかな。