冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
「いつも肩が凝ってて辛そうにしてたから」


誤解を解くために急いで説明を付け足した。


「ああ、そんなことどうしてわかったんだ?言ってなかったのに」


「だってよく肩を触ったり頭が重いとか言ってたから」


「……よく見てるんだな」


感心してるというよりも驚いているみたい。


フフッ、雨城くんたら恋する女子の観察眼を甘く見ているようね。


雨城くんのことならどんな些細なことでも知りたいっていつも思ってるんだよ。


「じゃあ行きまーす」


時間も限られているので彼の後ろに立って早速とりかかった。


「……よろしく」


おもむろに彼の肩を掴んで力を込めて揉み始めた。


時々祖父母の肩もみをしてあげてるから、結構得意なんだ。


ピンと伸びた背中やひきしまった腰のあたりにうっとりする。

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