冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
普段あまり後ろから繁々と見ることが無いけど、背後から見てもイケメンオーラが全開なんだ。


当然のことだけど、祖父母とは違って彼の身体は筋肉質。


肩に手を置いただけですぐに分かった。


自分から言い出したものの男子の身体に気安く触れるなんてドキドキしてしまう。


「かたい、ガチガチだね」


急に恥ずかしくなってきたのでわざと明るく言った。


「……そうか?」


彼は照れ臭そうにして振り返らない。


わっ、そんなに恥ずかしそうにしないで。


こっちまで緊張しちゃう。


私、下心なんて1ミリもないよ。


雨城くんに触ってみたいからって理由で、こんなことを言い出したわけじゃないんだよ。


だけど、こうして彼に触れているだけで心が弾んでたりして。


なんだかにやけてしまう。


ああ、ほんと後ろ姿もたまらない。
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