冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
サラサラの柔らかそうな髪が好き。
後頭部から首にかけてのラインも好き。
右の耳の後ろにある小さいホクロも好き。


うん、もうすべてが好き


ホクロ触りたいな、触ったら怒られるかな。


などと、いつしかよこしまなことばかり考えてしまっていた。


やっぱりほんのすこしは下心があったかもしれない。


いや、わりとあったかもしれない。


「雨城くん、いつも勉強頑張ってるからすぐ肩がこっちゃうんだよね」


ニコニコしながら、彼に話しかけた。


「でも花だって同じだろ?授業受けてるんだし」


「私は大丈夫。そんなに頑張ってないもん」


「自分で言うか」


フッと笑う彼を後ろから見てたら、可愛いくて愛おしくて抱き着きたくなっちゃう。


だって、彼の背中って凄く無防備なんだもん。


でもそれはさすがに出来ない。
< 104 / 351 >

この作品をシェア

pagetop