冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
そもそもあなたのせいで、とどめを刺されたようなものなんだから。


「私特別じゃないもん」


こんな人に私の気持ちなんてわかるわけない。


「は、特別?なんだそれ?」


「あなたみたいな人のことです」


思わず八つ当たりするくらいに、心がささくれだっていてく。


彼はじっと私の顔を見つめて呆れたように息をついた。


「よくわかんねーけどそれ見せてみろ」


「やだ」


「いいから」


彼は私の手に持っていた用紙をもぎとって、さっと目を通した。


消しては書いてを繰り返したその紙はとても誰かに見せられるようなものじゃない。


だけど彼はそれを見てフッと笑みを浮かべる。


なんだろう、失礼な人。


そんなにひどい文章ってこと?そりゃ、あなたにくらべたらたいしたことはないだろうけど。
< 111 / 351 >

この作品をシェア

pagetop