冷たい千景くんは10分だけ私の言いなり。
彼は雨城千景くんという名前でわが校の特待生。


彼は普通学科、私がセレブ学科の新入生代表の挨拶をするとき初めて出会った。


この3ケ月後くらいにようやく廊下ですれ違った時には彼は知らん顔で、私のことなんて覚えてもいないみたいだった。


でも入学式の日以来、私は彼をずっと遠くからあこがれ続けてきた。


それが恋なんだって気が付くのに時間はかからなかったんだ。





「あの時は、助けてくれて本当にありがとう」


入学式のことを全て話しおえると彼にあらためてお礼を言った。


やっとお礼が言えて嬉しかった。


「あの、千景くん?」


「あ、うん」


彼は顎に手を当てて神妙な顔をして考えこんでるみたいに見えた。


「そうか、そう言えばあの時誰かと話したような気がする」


「そ、そう」
< 117 / 351 >

この作品をシェア

pagetop